昇進・昇格試験の論文考2「論文テーマ」について(2)

今回は、論文テーマについて具体的に考えてまいります。

お客様に弊社より論文テーマをご提案する際は、論文テーマの本題に入る以前によく枕詞を設定します。枕詞とは前置き文のことであり、構成はだいたい三段論法で作成します。

テーマは常に三段のお重を思い描く

一段目ではお客様が置かれている現状を明記します。二段目では組織として求められている大義を記します。三段目では昇格後の役割として望まれる姿勢を押さえます。例えば、次のように記します。

当社を取り巻く環境変化のスピードがますます加速している現在、我々には中期経営計画である○○○○○○○○を成し遂げる責務がある。

また、企業理念である○○○○○を踏まえ、多様な人材の強みを活かし、組織一丸となって様々な課題に取り組むことが求められている。

そして、中間管理職としては先行き不透明な時代であっても、業務と人の両面から課題解決を成し遂げることが望まれる。

その後、本題である論文テーマを提示します。例えば、次のように記します。

以上に基づき、あなたの所属組織において、何が最重要課題であるか、理由とともに記しなさい。そして、昇格後のあなたは、どのような役割を担い、課題解決を実践していくか、あなたなりの行動を具体的に論じなさい。

枕詞は宝の山

枕詞には、上記のように様々なトピックが含まれており、それらはいわゆる論述する上でのヒントとなります。「論文なんて何を書いてよいかわからない」、そのような受験者様を救済するものであり、せっかくの機会なので、意義のある論文を書いてほしいという願いでもあります。

ただ、昨今トップとボトムを見極めたいというお客様が増加傾向にあり、枕詞は廃止する場合が多くなってきました。ジョブ型雇用がこれから浸透していくにあたり、ますますこの傾向は高まっていくと思われます。もし枕詞がなく、上記の3行だけの論文テーマだった場合、皆様は何を論じますか。

所属部署や担当業務の身の回りの狭いことに視点が埋もれてはしまいませんか。どのようなテーマであっても、マクロからミクロへと視点をブレークダウンすることが重要になります。

次回は8月12日(木)、昇進・昇格試験の論文の礎となる「評価軸」についてお伝えいたします。

※【お願い】当コラムの内容に関する個別のご意見やご質問に対しての回答は、基本的にいたしかねますので、あらかじめご了承くださいますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。