昇進・昇格試験の論文考8  「フィードバックコメント」について(2)

何を具体的に改めればよいのか、なぜ改めるのか

前回は「育成」をキーワードに「褒める」に焦点を当てましたが、今回は「改める」について考えます。

フィードバックコメントにも字数制限があるので、気づいたことを全て書き尽くすことはできないのですが、弊社では実際に書いてある論文に基づき、できる限り具体的に、どこをどう改めるべきなのかをコメントするようにしています。例えば、次のように記します。

  • 今後の施策において、「積極的に」や「常に」とはどの程度のことを意味するのか、具体化することが望まれる。
  • 課題を明記しているのは良いのだが、なぜそれが課題なのかの根拠や背景が不明なのは説得力に欠ける。
  • 理想的なことばかりを記すのではなく、施策を実行するにあたっての課題は何かなど、さらに探究する必要がある。現実味がないのは一考を要する。
  • 今後の取り組みを具体化しているのは良いのだが、現在既に着手していることの延長線上のことでしかないのは新規性の面で不足感がある。
  • 体裁にメリハリがなく結論や要点がわかりづらいのは要改善である。ナンバリングや小見出しを用い、まずは何をどの程度論じるかといった構成を立てたいところである。

ただ、管理職以上であれば文章の書き方のような指導は行いません。また、育成の観点から高得点の方であっても必ず改善点を指摘します。未来志向で論じる昇進・昇格試験の論文に100点を獲得することはあり得ないからです。

なぜフィードバックするのか

時折、評価結果は物議を醸すことがあるので、受験者本人にはフィードバックしていないというお客さまがいらっしゃいますが、そう聞くと驚きます。評価の内容に物議を醸すことは、決して悪いことではありません。計算問題のように明確な答えのない論文試験の評価にとって、大事なのは受験者が納得することです。

フィードバックがないと受験者は不安になりますし、疑念を抱きます何より育成につながりません。人材が育たないということは切磋琢磨し合うこともなく、会社が発展しないことに通じます。正社員であれば、仕事さえ無難にこなしていればよいというわけにはいきません。取り巻く環境は日々刻々と変化しています。先行き不透明な現在だからこそ、日々情報をインプットすることが重要なのです。現状維持でよしとするような姿勢は、緩やかな下降を招きます。

そして折に触れて、そのような傾向に陥っていないかを測る場を設け、それによって気づきを得て、再び邁進しようという意欲を持ってもらうことが大切となります。その意味で年に一度、論文試験があり、評価されてフィードバックされる機会があるということは、受験者にとっても会社にとっても、現在と未来を確認する良い刺激となるのです。

次回は12/2(木)、「育成」をキーワードに「期待する」についてご紹介いたします。

※ 【お願い】当コラムの内容に関する個別のご意見やご質問に対しての回答は、基本的にいたしかねますので、あらかじめご了承くださいますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。