昇進・昇格試験の論文考4 「評価軸」について(2)

「主体性」で何を見るのか?

今回は評価軸「主体性」です。基本的な評価軸「論理性」「主体性」「文章表現力」の中で「主体性」に最もウエイトをかけるお客様が多くいらっしゃいます。その理由は、「主体性」の中に次のような要素が含まれているためです。

  • 評論的でなく自らが主体となって行動していく姿勢があるか
  • 昇格後の役割認識を的確に捉えているか
  • リーダーシップがあり周囲と協調し、メンバーを育成していく視点があるか
  • 担当業務ばかりでなく、組織全体をマネジメントしていく視点があるか
  • 組織目標を達成し、課題を解決していく姿勢があるか

弊社が評価させていただいておりますお客様に限って言えば、当評価軸の標準的なレベルは5点満点で3.2点となります。
この評価軸が低めとなる主な傾向を3点掲げます。

  1. 過去や現在のことに比重が置かれ、今後の施策が縮小されている
  2. メンバーに「~させる」と威圧的で他力本願的である
  3. 「~したい」と抱負を述べるにとどまる

「主体性」を高めるためには

昇進・昇格試験の論文では、自己アピールも必要です。自分を前面に出すと効果的といえます。例えば、強い信念を持っている人は、次のような表現をします。
「この取り組みは、これまで○年近くにわたって○○○○○を経験し、海外にも赴任したことがあり、社内外・グループ会社にも人脈をつくってきた私だからこそ適任である。」

ここまでアピールされると信憑性があり、「この人ならやってくれるのではないか」との期待を抱かせます。弊社では、そういった表現ができていないからといって、書かれた内容を否定するものではありませんが、たいていの人は論じたことを実現できる裏づけがとれていないものです。だからこそ、そういった表現ができている論文が際立つといえます。
また、主体となって取り組む中身も問われます。管理職が身の回りの近視眼的なことばかりを論じても訴求力は高まりません。経営陣に近い役職者が担当領域のことばかり論じても有効ではありません。

長年にわたって評価を担当させていただいているお客様の中には、例年平均点が3.5点レベルに達する例もあります。これは、主体となって行動していくことが現場に浸透している事例です。昇進・昇格試験の論文を継続することは主体性を高めることに通じるのです。
嬉しかったエピソードをひとつお伝えします。あるお客様で高得点を獲得した人材が、現場では全く脚光を浴びることはなかったのですが、その解答のセンスに驚き、その人材の育成方針を会社として変えたというものです。アセスメントに携わる立場としては、このように埋もれたダイヤモンドの原石の発掘のお役に立てたことは、アセスメント冥利に尽きます。

次回は9/16(木)、評価軸「文章表現力」に関してお伝えいたします。

※ 【お願い】当コラムの内容に関する個別のご意見やご質問に対しての回答は、基本的にいたしかねますので、あらかじめご了承くださいますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。